2012年7月12日木曜日

がん細胞を自然死させない原因酵素を特定

がん細胞の転移に大きな役割を果たす酵素が特定された。

発見・特定された酵素は、「ADAM28」。 ADAM28は肺がん中の細胞などで強く働いている酵素で、 ADAM28が血液中のVWFという分子を分解する。その結果、がん細胞はこのVWF分子が引き起こすはずの細胞死を免れ、自然死(アポトーシス)しないことが確認された。 がん細胞は通常、血管に入るとほとんどが死滅するが、一部のがん細胞が生き残ってしまうことが原因となって、他の臓器にがん転移していた。

マウスによる実証実験では、酵素ADAM28の働きを阻害すると、がんの転移を抑制できることが確認できた。この発見から、がんの増殖/転移を抑制できる有望な抗がん剤の開発が期待される。

当該研究の成果は、慶応大医学部の研究チームが米国立がん研究所雑誌へ発表した。