2016年3月17日木曜日

がん に効くバクテリア新薬

がんを治療できるバクテリアが、2015年11月に米国シカゴ大学で発見された。

シカゴ大学で発見されたバクテリアは、マウスの胃腸に存在するバクテリアの一種で、「皮膚がん」に対して有効であるされた。これは免疫療法の一種として研究されており、バクテリアは皮膚がんの成長抑制に関しては従前の免疫療法と同レベルの効果が確認された。さらに、ビフィズス菌の投与とバクテリアによる免疫療法を併用した場合は、皮膚がんであるメラノーマの成長をほぼ止めらたのである。

他方、フランスでも、ある種のバクテリアには免疫応答療法を活性化させる効果があることが発表された。

これらは、「マイクロバイオーム」と呼ばれ、多くの製薬会社が一斉に注目する分野となったのだ。

一昔前までなら「消化器官内のバクテリアが免疫系で重要な役割を果たしている」などとは信じようのない暴論だったのだが、今では多くの免疫学者にとっての常識へと変わった。

バクテリアの免疫治療の研究は順調だが、まだ治療の効果が一時的であり、長期間でも持続した効果が得られることが目標となっている。そのため、製品化にはまだ5年以上が必要とも言われている。

しかし、バクテリアやマイクロバイオーム、免疫治療の相関に対する注目は高まっており、2015年1月には新薬を熱望するネスレが、バクテリアを利用した消化系に効果的な治療法を開発する企業へ6500万ドル(約74億円)を投資した。


by ZEISS Microscopy


2015年にはスタートアップのVedanta Biosciences社が、ジョンソン・エンド・ジョンソンと炎症性腸疾患に関するマイクロバイオーム薬のライセンス契約を結んだ。大手の製薬会社もバクテリアを利用したがん治療へ、大きな期待を持っているのだ。

2015年11月には、スタートアップの4D Pharma PLC社が乳がん・肺がんに有効なバクテリア薬での動物実験に成功した。4D Pharma PLC社では、人間への臨床試験を2016年から開始する見込みで、これによって、同社が集めた出資金は1億4000万ドル(約160億円)を超えたのだった。

フランスでは、ENTEROME社がバクテリアの分泌物を使った新しいがん治療法を開発中だ。こちらも大きな注目を集めたことから、2016年3月中に1500万ユーロ(約19億円)の融資が行われる予定なのだ。

「ある患者にとっては有効だが、別の患者には有害になる」という薬害問題が新薬には付いて回る。しかしも、人間のマイクロバイオームは多様であるため、免疫療法の効果は一卵性双生児に対してさえも差が生じることが知られている。

無数にあるバクテリアの中からがん治療に有効なものを特定することは困難であり、さらに効果が発揮されるに最適なバクテリアの量を特定することも容易ではない。今後の課題は多いものの、

将来的には、酵母抽出ベータグルカンが普及したのと同様に、がんの予防や治療に効果のあるバクテリアを含む食品やサプリメントが発売される可能性は高い。


by University of Michigan School of Natural Resources & Environment

2016年2月16日火曜日

すい臓がん の 最新治療法

すい臓がんの、しかもステージ4末期のすい臓がん患者を治療できる新しい治療法の臨床試験が日本でも開始されている。

すい臓がんの新しい治療法は、『ナノナイフ治療』(別名:不可逆電気穿孔法)。
体外から がん患部へ針を刺し、針の先端に短時間だけ3000ボルトの電流を通電させる治療法だ。

治療対象のすい臓がんは周辺の胃や十二指腸などの臓器が入り組んでいることが旧来法の手術を困難にさせていた。

しかし、ナノナイフ治療では身体表面から超音波画像で探りながら、胃や十二指腸を貫通してがん患部へと針を通すのだ。がん患部に取り囲むように設置された治療針の先端に電気を短時間だけ流す。電気が流れるのは針の先端1.5cmだけで、対になったプラスの針の先端からマイナスの針の先端へ3000ボルトの高電圧で1回あたり1万分の1秒という短時間だけ電気が流される。

この通電を80回から160回行うと、がん細胞にナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の穴が開くことで、中の細胞質が溶け出しがん細胞が死ぬのだ。

既に実施された末期のすい臓がんの治療結果は8例中6例でがんが縮小する成果が得られた。

先行する米国でのナノナイフ治療は 当初は肝臓がん治療に治療されることから始まった。その後拡張されたすい臓がん治療例は200例を超えており、50例でがんが縮小し手術が可能となった。残る150例でも生存期間が2倍となる効果が確認されている。また再発率が3%と低く、すい臓にがんを留める効果(局所制御能)も確認されている。

末期のすい臓がんでも治療が可能な『ナノナイフ治療』は、日本では東京医科大学が臨床試験を進めている。

近い将来には、肝臓がん、すい臓がんの治療に留まらず、肺がんや前立腺がん、腎がんの治療へと適用対象が拡大が見込まれる。末期すい臓がんでも治療法はあるのだ。

2016年2月1日月曜日

肝臓がんを予防する飲み物とは

コーヒーはがんの予防に効果がある。

特に肝臓がん子宮体がんの予防に対して、コーヒーに明確な効果があることを国立がん研究センターによる調査・研究が立証した。コーヒーを日々飲むだけで特定のがんの発生リスクが抑えられるのは朗報だ。

コーヒーは沢山飲むほどにがんリスクが低下することも解っている。コーヒーを殆ど飲まない人と比較してみると、ほぼ毎日コーヒーを飲む人の肝臓がんの発生リスクは約半分に減少し、さらに1日5杯以上もコーヒーを飲む人なら肝臓がんリスクはさらに4分の1にまで低下するのだ。

コーヒーの抗がん効果の原因成分はポリフェノールの一種である抗酸化物質のクロロゲン酸だ。コーヒーに豊富に含まれているクロロゲン酸には、血糖値を改善するほか、体内の炎症を抑える作用つまり抗酸化作用があるのだ。このクロロゲン酸を継続摂取することが がんの予防に効果的になっていると推察されている。

大腸がんに対するコーヒーの抗がん効果はまだ「データ不十分」ながら、がん予防に効果的な所見も示されているため、コーヒーを適度に飲むことは大腸がんの予防的な手段の一つとも言えるだろう。

一方、コーヒーはがんだけでなく糖尿病の予防にも効果あることも既に多数報告されている。つまり、コーヒーを飲むことでがんリスクに加え糖尿病リスクも下げられる相乗効果が望めるのだ。

コーヒーは「糖尿病予防」効果と「抗酸化作用」の両面からがんを抑制する有用な飲み物なのだ。