抗がん剤の副作用被害に対する公的な救済制度の創設が先送りとなる可能性が高まっている。
「抗がん剤の副作用被害救済制度」は、抗がん剤イレッサの副作用で被害を受けた患者遺族の訴訟を通じて、患者側から要望され、かつ、裁判所の和解勧告を拒んだ際に国が制度創設の検討を表明していた。
抗がん剤以外の医薬品に対しては、薬害・副作用で重い障害を負ったり死亡したりした場合に、医療費などが支払われる公的な制度があるが、 抗がん剤は対象外であったために、別の救済制度の創設が強く要望されていたものだ。
しかし、重い副作用が高い確率で起きることを前提として投与する抗がん剤に対して、制度の創設は難題が多く指摘された。「制度設計を急ぐと、かえってがん医療を委縮させてしまう」という慎重論は、国と製薬会社側の論理であり、とてもがん患者側の心情を汲んだものではない。
最低限でも「継続検討」として、早期の制度創設が期待される。